yura*'s rakugaki diary

つれづれなるままに、日くらし硯にむかひて、心にうつりゆくよしなし事を、そこはかとなく書きつくれば、あやしうこそものぐるほしけれ。

行政書士試験合格発表と合格のための独学勉強法

行政書士試験合格発表の日。

行政書士試験合格発表 公示

行政書士試験合格発表 公示

合格発表

合格発表

 

関東の欄に自分の番号がなくドキッとしたが、東京の欄に番号を発見。

 

無事合格することができた。せっかくなので(6年+)99日で合格した独学者向けの勉強法を紹介。

 

なぜ(6年+)なのかというと、実は6年前に一度落ちているからだ。今回は二度目の受験。6年前の失敗と今回の成功の違いを伝えることで、同じ失敗に陥る人を一人でも救えれば嬉しい。

 

-1.6年前の失敗

 

6年前の試験の日、早めに会場についた私は試験までの1時間、某大手通信講座の直前山あてCDの付属テキストを読んでいた。ちなみに、このテキストを読んだのはこのとき初めて。

 

さらに恥ずかしいことに、行政訴訟法という言葉を試験当日に知った。なぜなら、憲法しか勉強していなかったからだ。

 

行政書士試験が何か、ということを全く理解していなかった。そして(今にして思えば60問中4問程度しか出ないと分かる)憲法だけ、なんとなくテキストを読んだだけで満足して、それ以降全く勉強せずに当日を迎えた。

 

それでも内心、6割だったら勘でなんとかなるだろう、と高を括っていた。本当に恥ずかしい。

 

今でも忘れない。試験中、記述式で「形式的当事者訴訟」と解答すべき問題が出た。今であれば、なんて素直な問題なんだ、と思うが、当時は訴訟の種類など知るわけもなく、必死に他の問題文に含まれていた「取消訴訟」と書いて満足したのを覚えている。

 

試験が終わっても、受かっているかもしれないという希望を捨てきれず、自己採点をせずに、合格発表の通知を待つ。

 

当然郵送されてきた結果は不合格。受かるかもしれないという期待にすがっていた自分にとって、不合格の衝撃は大きかった。何点だったかも覚えていない。多分、すぐにゴミ箱に捨ててしまったと思う。

 

それから、6年間、もう一度受けようと思うこともなく月日は過ぎて行った。

 

それでも、心の奥に行政書士試験への想いが微かに残っていた。そんな時に以下の本に出合って、歯車が動き始める。そして、試験への99日が幕を開けるのだった……

 

0.参考書

 

この本に出会えたから合格できた、そう言い切れるほど、最短合格法のメソッドが詰まっている。私の勉強法もこの本をほぼトレースした内容となっている。あくまで、勉強方法の参考書なので、テキスト・問題集は別に必要となる。

行政書士試験 最短合格術

行政書士試験 最短合格術

 

また、この本に載っている、以下のおすすめ書籍は、民法改正後の内容で記載されているので注意が必要。2019年度の試験までは、おそらく大部分が改正前からの出題のはず。(試験要項を確認のこと) 

国家試験受験のためのよくわかる民法

国家試験受験のためのよくわかる民法

 

 

1.テキスト

合格革命 行政書士 基本テキスト 2019年度 (合格革命 行政書士シリーズ)

合格革命 行政書士 基本テキスト 2019年度 (合格革命 行政書士シリーズ)

 

後述する肢別問題集が今回の勉強法の要なので、その問題集とリンクしている合格革命シリーズの基本テキストはあると便利。

 

カラーでまとまっており、無駄のない記載が持ち味。逆に言うと、試験にあまり出題されないポイントは手薄なこともあり、より理解を深めるには、もう一冊別の観点から書かれているテキストがあると良い。 

 

本文以外の、サイドの余白に書かれている、重要ポイントや、試験に出るポイントも非常に大切なので、問題集を解く際に横に置いておきたい。

 

ドンドン解ける!行政書士合格テキスト ’19年版

ドンドン解ける!行政書士合格テキスト ’19年版

 

 

元試験委員の先生が監修されているテキスト。特に民法の先生だけあって民法の章は非常に分かり易い。 また、合格革命シリーズとは違う切り口で説明している部分もあり、合格革命シリーズのテキストでピンとこないときは、こちらを参照すると良い。

 

 

スラスラ解ける!行政書士ウラ技合格法〈’18年版〉

スラスラ解ける!行政書士ウラ技合格法〈’18年版〉

 

 残念ながらウラ技としては、期待するほどでもなかった。しかし、この本の真価は「連帯(保証)債務の攻略テクニック」にある。私も、なんとなく苦手意識を持っていたこの分野を攻略する、とてつもないパワーワードが掲載されていた。

 

「コンド(混同)は、セイ(請求)コウ(更改)、ソウ・メン・ジュース(相殺・免除・時効完成)」

P.180

 

このフレーズだけで、ほとんどの連帯(保証)債務関係の問題は解ける。この章を読むためだけでも買う価値のある本だと思う。

 

2.問題集(択一式)

 

合格革命 行政書士 肢別過去問集 2019年度 (合格革命 行政書士シリーズ)

合格革命 行政書士 肢別過去問集 2019年度 (合格革命 行政書士シリーズ)

 

 これが今回の勉強の要。とにかく、この一冊は必ず買うこと。これだけでも法令は6割取れるといっても過言でないくらい重要な問題集。本試験と違い、一問一答の〇×形式で項目ごとに出題されている。

 

自然と、問題の出し方、着眼ポイントが実感できるようになる。オリジナル問題もあるのだが、本試験の過去問の感覚に慣れると、オリジナル問題独特の違和感を感じることもできるようになる。

 

合格革命 行政書士 基本問題集 2019年度 (合格革命 行政書士シリーズ)

合格革命 行政書士 基本問題集 2019年度 (合格革命 行政書士シリーズ)

 

 

こちらは、本試験の問題をそのまま抜粋している問題集。一問一答だけでは対応できない、問題への対応力を学ぶことができる。また、選択肢のどの部分が回答への近道なのかも習得することができる。 

 

3.問題集(記述式)

 

合格革命 行政書士 40字記述式・多肢選択式問題集 2019年度 (合格革命 行政書士シリーズ)

合格革命 行政書士 40字記述式・多肢選択式問題集 2019年度 (合格革命 行政書士シリーズ)

 

 

記述式は対策が難しい。この問題集(2018年度版)を使用したが、残念ながら本試験では全く違う問題が出題された。しかし、問題への解答のコツは学ぶことができる。

 

満点狙いではなく、質問に対して部分点を狙うために必要な解答のまとめ方を吸収できる問題集である。 

 

択一式の対策で肢別問題集を解いていれば、記述式に必要なワードは網羅しているはずなので、あとは40字前後でまとめるテクニックだけあれば、本番はなんとかなる。

 

4.直前予想模試

 

直前予想模試は以下の2つ、計6回解いたが、合格革命シリーズの方が本試験と感覚が近い気がした。そして、どちらも本試験より難しい問題設定になっていると感じた。

 

仮に、模擬試験を解けなくても一喜一憂することなく、足りなかった知識を習得するようにしたい。 

合格革命 行政書士 法改正と直前予想模試 2018年度 (合格革命 行政書士シリーズ)

合格革命 行政書士 法改正と直前予想模試 2018年度 (合格革命 行政書士シリーズ)

 

 体感的に、本試験に近く、しっくりくる予想模試。肢別問題集1周目終わりに模試1回目を解いた際は110点くらいしか取れなかった。(しかも勘がほとんど)

 

しかし、3周目あたりで2回目を解いたときは、180点ギリギリ(甘い自己採点)だったので、変に安心して、プラトー現象に突入した気がする。頭では油断するな、ただの模試だと思っているのに、心の力が抜けてしまった感じだった。

 

問題が変われば30点くらいは点数が変動することもあるので、記述式は厳しめに採点する方がよいかもしれない。 

念のため購入した予想模試。問題の質が本試験と違いすぎて違和感があった。それでも違う切り口からの問題を体験できる、という意味で難問への心構えにはよかったかもしれない。

 

5.判例集

みんなが欲しかった! 行政書士の判例集 2019年度 (みんなが欲しかった! シリーズ)

みんなが欲しかった! 行政書士の判例集 2019年度 (みんなが欲しかった! シリーズ)

 

問題を解いていると判例からの出題が多いことに気付くと思う。そんな時に、判例の背景を知ることで、より理解が進む。

 

この本は、判例の背景を文章と図で分かり易くまとめているので、非常に読みやすい。関連する判例も掲載されており、とても役に立った。

 

6.勉強法まとめ

 

まず最初に、試験の概要を把握する。

 

参考書として挙げた「行政書士試験 最短合格術」の中にもあるように、試験の出題数は科目ごとに異なり、最重要科目は「行政法」と「民法である。

 

行政法」、「民法」が不十分であれば商法・会社法は捨てる勇気が大事。出題数が5問と少なく、範囲が広いので、対策に時間がかかるからだ。また、意外と常識で解ける場合もあるので、費用対効果が低い。逆に憲法」は条文も少なく、出やすいポイントが限られているので、得点源にしたい。

 

そして、とにかく肢別問題集を解く

 

最初は難しくてなかなか進まないが、とにかく解いていく。わからなければ見開き右のページの解説を読んで、なんとなく理解する。最初は深く理解する必要はなく、自分の考えた道筋とのズレをおおまかに把握する。

 

並行して基本問題集を解く

 

あえて、肢別問題集と解く科目を変えることで、時間を空けて覚えたことを忘れてしまう、ということを予防する。

 

どちらも解説だけでは理解できないことがあるので、そんなときにテキストを参照する。

 

肢別問題集を回していると、段々と解説の言葉が自然と頭に浮かんでくるようになる。

3周目には、分からないことの方が少なくなってくるはずだ。

 

しかし、ここからが要注意。必ずとは言えないが、ある日、突然、今まで分かっていたことが分からなくなる瞬間が訪れることがある。いわゆる学習の成果が頭打ちになるプラトー現象だ。

 

こうなった時も、焦らずに肢別問題集と基本問題集のルーティーンを回すことが非常に大切。

 

また、試しに模擬試験を受けてみるのも手である。ただし、注意が必要なのは、あくまで模擬試験の点数は本番とは関係がないということ。模擬試験で合格ラインの180点を越えたとしても、油断は絶対に禁物だ。

 

7.モチベーションアップ

 

 

行政書士試験は合格して終わりではない。むしろ合格することで、ようやく行政書士のスタートラインに立つ権利が得られるに過ぎない。

 

それを実感させてくれたのがこの本。最初に紹介した、「行政書士試験 最短合格術」の監修をされている竹内先生の本だ。

 

この本の素敵なところは、一言も「合格おめでとう」と書かれていないこと。そして、行政書士業務の甘い話が一切書かれていないこと。

 

淡々とした筆致が、逆に試験に対する恐怖心を、闘争心に変えてくれる。

 

司法試験トップ合格者らが伝えておきたい勉強法と体験記

司法試験トップ合格者らが伝えておきたい勉強法と体験記

 

 司法試験の勉強法を知れば、行政書士試験は楽に受かるのではないか、という軽い発想で購入した本。正直なところ、勉強法は司法試験の論文対策などに特化したものが多く、行政書士試験へ適用できる内容はあまりなかったが、ひとつ、とても心に響いた場面があった。

 

それは「どんなに不安でも、泣きながらでも勉強して前に進んだ」という話だったが、やはり試験に向けて不安だった自分も頑張ろうと思わせてくれた。

 

8.試験当日のできごと

 

東京会場だった私は、試験開始1時間半前に会場に着いた。とても天気が良い日だった。なぜか誰も座らないベンチがあり、ラッキー! と思い座る。

 

これが大失敗だった。他の場所は木陰だが、ここだけ直射日光があたる場所だったのだ。少しの間だから、なんとかなる、と思っていた。しかし、会場に入って着席したとたん、眩暈。まさかの熱中症

 

試験説明開始までの30分程、お守り代わりのテキストを読む余裕もなく、机に突っ伏して寝る。それでもボーっとするので、人目を気にせずトイレで顔を洗った。

 

頭の状態は最悪だったが、緊張する余裕がなかったのは良かったのかもしれない。

 

そして試験説明。試験中トイレに行きたくなったらどうしよう、とずっと不安だったが、試験官が2回、トイレは手を挙げて試験官の指示に従えば大丈夫、という説明をしてくださったので安心。よかった。

 

いよいよ試験開始。くじ引きの当たりを引いた時のようなベルが鳴る。基礎法学の問題は大陸法からの出題。ウラ技本に解説があったので、読んでいて良かった。

 

順調に解いていく。思ったより解くペースが早く、内心「イケる!」と思った。その瞬間。まさかのパニック障害発生。心臓がバクバク言い出し、息が苦しくなる。

 

問題に向き合う余裕がなくなったので、とりあえず、「大丈夫、大丈夫」と自分に言い聞かせて落ち着く。発作のピークには手を挙げてトイレで休憩しようとも思ったが、ギリギリのラインで落ち着いてくれた。

 

そこからはペースを落とし、ゆっくり解く。確実に集中力は落ちたが、発作の予兆があったので、とにかく心を落ち着かせることを優先。情報処理安全確保支援士試験の時も発作になった中で合格できたので、今回も大丈夫なはずだ、と思い込むことにした。

 

記述式の、行政法の問題で悩む。申請を受理してもらえない場合の訴訟提起。不作為の違法確認訴訟の相手方を誰にするか。最終的に難しく考えるのをやめて、本来の相手方である県にした。

 

民法の、追認はほぼ書けたと思う。書面によらない贈与は、それとなく知っている単語をちりばめて部分点狙い。

 

そして、一番の大穴、一般知識。全くのノー対策で挑んだのだが、案の定わからず血の気が引いた。一般知識の足きりは4割正解だが、実質14問中6問正解しなくてはならない。

 

確実に正解だと言える問題が少なく、どう計算してもギリギリ。最後の文章問題で一問でも間違えるとアウト。マークミスしてもアウト。

 

試験が終わり、帰り道は放心状態。一般知識にやられるとは……

 

それでも結果として合格。一般知識は、奇跡的に出題ミスも重なり幸運だった。合格してみると、受験する前に感じていた大きな壁が、実はハードルくらいの高さだったように感じてしまうから不思議だ。

 

今年の試験まであと10か月。まだまだ、時間があります。ぜひ、みなさんも受験してみてはいかがでしょうか。

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