yura*'s rakugaki diary

つれづれなるままに、日くらし硯にむかひて、心にうつりゆくよしなし事を、そこはかとなく書きつくれば、あやしうこそものぐるほしけれ。

パイナップルの彼方 読了

山本文緒先生の『パイナップルの彼方』を読んだ。

 

パイナップルの彼方 (角川文庫)

パイナップルの彼方 (角川文庫)

 

 

理想とする幸せな家庭を目指し結婚した友人なつ美。失恋と甘くない現実から逃避してハワイへ逃げた友人月子。

 

その、どちらの生き方にも共感できず、現実と向き合いながら、一人の自由を謳歌しながらも、苦しんで生きるOLの主人公深文。

 

その深文が、彼氏や、プライドの高い上司、腹黒い後輩、軟派な男性社員に翻弄されながら、本当の自分の気持ちに気付いていくというお話。

 

それぞれが上手くやっているようで、皆悩み生きている。

 

個人的に、深文がパニック障害(作中では過呼吸症候群)になった際の描写が、経験者として、とてもリアルだと感じた。作者本人が経験したことがあるか、緻密な取材に裏打ちされた表現なのだろう。

 

少し気になったのは、なつ美の旦那さんのその後。幸せそうな家庭を築くはずのなつ美は、姑や夫とうまくいかず、月子のいるハワイに逃亡。

 

それを知った旦那さんは、深文に連れ戻しにいって欲しいと、ハワイ行きのチケットを手配。深文は承諾するも、空港で自分の気持ちに気付き、チケットをごみ箱に捨てて彼氏のいるはずの金沢へ。結局、なつ美はハワイで就職。

 

深文の彼氏は、チケットの払い戻しをしなかったことを怒っていたが、それよりも、お願いを受けて、チケットを手配してもらった挙句、すっぽかしたことを、誰も気にしていないのが少し驚きだった。

 

逆に、他の人の気持ちより、自分の気持ちを最優先にできるぐらい、正直に生きることができるようになった、ということなのかもしれない。