yura*'s rakugaki diary

つれづれなるままに、日くらし硯にむかひて、心にうつりゆくよしなし事を、そこはかとなく書きつくれば、あやしうこそものぐるほしけれ。

落花流水 読了

 山本文緒先生の『落花流水』を読んだ。

 goo辞書によると落花流水とは、

落ちた花が水に従って流れる意で、ゆく春の景色。転じて、物事の衰えゆくことのたとえ。時がむなしく過ぎ去るたとえ。

dictionary.goo.ne.jp

 なるほど、タイトル通り人が衰えていく様を描いた作品である。

 7歳の少女の人生が、物語の軸となる。その軸を取り巻く人々の視点も借りながら1章につき10年の時が流れていく。

 この作品の根底にあるのは「人は誰しもどこか狂っている」ということ。そういえばパスカルも「人間が狂気じみているのは必然である」と言っていた。

 旦那や子供を置いて平気でほかの男と駆け落ちをしたり、好きになった人の子供を誘拐したり、義理の妹や怪しげなキノコに手を出したり、可愛がっているネコに美味しいものを食べさせすぎて病気にさせたり……

 登場人物の誰しもどこか影を背負ったまま生きている。そしてそれが人生の最後まで続いていく。

 読んでいる途中も、読み終わった後も、お腹の底になにか重いものがあるような気持ちにさせられた。生きていくこと、結婚すること、そういったことにとても恐怖を感じる、そんな作品だった。

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