山本文緒先生の『絶対泣かない』を読んだ。
色々な職業に携わる女性(と稀に男性)が抱える葛藤を仕事や私生活を通じて炙り出す短編集。
山本先生の作品の素敵なところは、心に浮かんでくる負の感情をこれでもかというくらい浮かび上がらせてくれるところ。特に嫉妬や怒りについては目を背けたくなるほどリアリティをもって克明に描写する。
ただ、大体の作品において最後にハッピーとはいかないまでも、少し前に向かって進んでいくような終わり方をするので後味は決して悪くない。
むしろ、この現実世界で苦しむ私たちに少しの希望(生きるための力)を与えてくれる、そんな読後感だった。