言の葉の庭 その2
途中、自分の過去を思い出してトラウマを呼び起こすシーンが来たときは読むのをやめようか悩んだが、少し時間をおいて読むことで最後まで読み切ることができた。
読んでいる間、ずっと心臓をキュッと握られているような漠然とした不安を感じていたが、読み終わった後は少しそれが和らいで、優しい気持ちになることができた。
最後まで雪野は孝雄に「好き」とは言わなかったことが、雪野の最後の矜持だったのかなとふと思った。立場を取り払えば間違いなく「好き」なのに、そこに社会の枠組みを持ち込むと「好き」とは言えなくなってしまう。そういう意味で、雪野もしっかりと社会の中に溶け込んでいたのだと、そんなことを感じたラストだった。