吉川英治先生の三国志を読む。
北方健三先生の三国志は、自由な発想で、人間らしい英雄像を、戦、お酒、女性をキーにして鋭く内面からえぐるように描いていたが、吉川先生の三国志は、人間そのものの泥臭さを描いている。とにかく、登場人物が皆人間くさい。
まだ二巻までしか読んでいないが、董卓にしろ、王允にしろ、呂布にしろ、皆等身大の人間として描かれている。 謀が得意であっても、最後はあっさり命を落とす。唯一、絶世の美女貂蝉だけは、最後まで役を演じきった。それが儚く、どこか恐ろしい。
新聞連載の小説だっただけあり、程良いテンポですすむので、読みやすい。ついつい次が気になり、読んでしまう。今年中に全巻読みたい。